ねぇ、どこに行くの。
私を置いて、どこに行くの。
傍にいると、言ったのに。
一緒に笑うと、言ったのに。
冷たい夜風が、街路をかすめる。
傍の小川が、小さく聞こえる。
聞こえる、足音。
私の足音。
木霊する。
あぁ、そうか。
離れたのは、あなたじゃないね。
離れて行ったのは、私だね。
小さな足音が、ふと消える。
寂しいと言いながら、心を閉ざしたのは私だった。
寂しいと言いながら、耳を塞いだのは私だった。
寂しいと言いながら、繋がりを断ったのは私だった。
なんだ、私のせいか。
ぜんぶぜんぶ、私が選んだことなのか。
望みたかったわけではないのに。
ただ、心の底から笑いたかっただけなのに。
カランコロン、カランコロン。
でも、これでいい。
カランコロン、カランコロン。
それらを傍に置いて、私は生きていけない。
私が、私でいるために。
ずいぶんと荷物は軽くなってしまったけれど、
これが、今は一番歩きやすい。
カランコロン、カランコロン。
少しの荷物と共に、私は歩く。
月の灯りが、ふわりと舞う。
傍を流れる小川の音。
この川の上流はどうなってるのだろう。
そんな些細な理由で、私は歩く。
もう少しだけ、歩いて行ける。
理由があるから、歩くのか。
歩くための、理由なのか。
それはわからない。
カランコロン、カランコロン。
でもそれはきっと、それらはきっと、
みんなも同じ。
今も私に届くのは、傍を流れる水の音。