あなたと、同じ夢を見れたら。

どこにでもいるようなとある社会人です。あなたの一瞬の暇つぶしにどうぞ。 なんでもない日常に、少しの彩りを添えられたら。

このうろこ雲はただの雲じゃないんだね


カシャッ



カメラの音



うろこ雲が広がる夕焼け空を撮ったところ



七分丈の袖を少しだけ伸ばそうとしてみる



あっという間に肌寒くなって



蝉の声はいつのまにか聞こえない



あたりを泳ぐ風もこころなしか軽やかだ



おかしいな



ついこの間まで、止まぬ雨に憂いていたのに



ついこの間まで、肌を焦がす日差しに苦笑していたのに



あぁ、そうだ



あっという間に過ぎていく



あっという間に思い出に変わっていく



今が過去になることは少し寂しいけれど



記憶はどこまでも繋がっていく



忘れてしまう記憶もあるけれど



カシャッ



思い出させてくれるトリガーがある



いやたとえ



私やカメラがいなくなってしまっても



あなたはきっと、思い出してくれる



このうろこ雲はただの雲じゃないんだね



このうろこ雲は、数えきれない人々の記憶を蘇らせるトリガー



ひとつひとつ、全てに誰かの記憶がある



一瞬の積み重ねがある



ふふっと笑って歩き出す



あぁ、とんかつでも食べようかなぁ



とんかつでさえ、この記憶を思い出すトリガー



ぜんぶ、ぜんぶが繋がっていく



あなたもどうか、この記憶の先で笑えていますように



そんなことを願いながらまた笑った



そんな涼やかな街の夕暮れ