いつの記憶なのだろうか
どこからともなく漂ってくる、草が焦げたような匂い
秋の早朝のような、夕方のような、夜更けのような匂い
匂いとともに運ばれてくるのは、何気ない日常の記憶
秋の季節の中での笑った記憶、一生懸命だった記憶、
1年前、2年前、3年前、5年前、もしくは、それよりもずっと前
何度この季節を繰り返しても
この季節は、何度でも記憶を呼び起こす
その時にいた人や、景色や、音は、もうここにはないけれど
その時はもう、記憶の中でしか生きれないけれど、
何度でも記憶の中で蘇る
薄れていくことはあっても、消えることは決してない
僕は、やさしい人じゃないけれど
誰かにとって、
やさしい記憶でありますように
枯草の匂いが風に舞う
心地よい匂いを胸いっぱいに吸い込む
どうせまた来年も、今日を懐かしむんだろう
秋の夜が、心地よく頬を撫でていた